2012年10月1日月曜日
水滸伝十七(食べる読書126)
想いを形にする。
私は、そのために生涯をささげたいと思う。
どれだけ自分の思想が現実化でき、それが人々を成長へと導くか。虚なのか実なのか、この目で確かめたいと思う。マルクスの社会主義は、虚であったのだろう。
闘いが最終局面に入った。
関勝が死んだ。
好きな人物のひとりであった。
董平など、他にも多くが死んだ。
闘いとは違った視点での、局面の推移がこの巻にあると感じることがあった。
魯達と盧俊義が死んだことだ。
この二人は、宋江の「替天行道」を形にし、いまの梁山泊を形にしてきた立役者だった。
この二人が死んだ。
時の移り変わりを感じるし、梁山泊のあり方にも多少の変化があるのだろうと感じる。
0から1にはした。これからは、どれだけ大きくしていくか。その本質は変えずに、だ。その役目はいまの人たちが担うことである。呼延灼、張清、史進、燕青などだ。
魯達たちは土台をつくった。われわれが生きるこの大地に根差した生活を実現するため、宋という国を支える民の中に根を伸ばし続け、組織立ててきたのだ。出発はこの足元にあり、これがそのまま基本であり、王道でもある。
思想を形にするために生涯をささげ、そのために生き、そのために死んだ。
敬意を払わずにはいられない。その健闘をだ。成し遂げたのだ。そして、しっかりと次の人材も育っている。この偉業は、ほかの者では成せなかった。
宋江や雷横とは違った敬意の気持が彼らにはある。
感謝。
以下抜粋
「俺のやることのどこかに、穴があるか?」
「穴などない。しかし、穴は自ら穿つものだ、と考えている人間はいるかもしれん」
しかし、ひとつずつだ。ひとつずつ進めていくしかない。
自分の人生が、自分の考え方ひとつで、意味のあるものになるのだと、心に沁みこむようにわかった。あの時のことは、忘れられない。
実戦がはじまれば、調略戦はあまり意味がなくなる。
「われらはみな、梁山泊の民。いまは、力を合わせて宋と闘っている。やがて、勝つ。私は信じているが、それを見ることはできん。私の寿命が、尽きようとしているからだ。多くの者が死んだ。それ以上に多くの者が入山してきた。激しい闘いは、これからも続く。ともに戦えないのは無念であるが、わが魂魄はこの梁山泊にある」
ひと時の感情で決めるな。あらゆることを考えて、決めるのだ。
呂牛という男の弱点は、自尊心なのかもしれない、と燕青は思った。追いつめられた時、人はそれまで隠していた本性を出す。
「ならば、喋ることのないまま、おまえは毀れていく。喋ってはならないものを抱いたまま毀れるのと、どちらがつらいのだろうか?」
「俺は、志を抱いて生きた。志のかぎり、生き続けたかった。しかし、ここで倒れることになった。楊令、この無念さがわかるか。俺は、すべてを達観して、おまえと語ったつもりだった。しかし、心の底の無念さだけは、語らなかった。おまえに、見せようと思ったからだ」
「志を全うしようと思えば、病んでもならんのだ、楊令。俺は病んだ。腹の中にいる病ごときに殺されるのが、無念でならん」
「子午山で、魯達は自分がむかい合うものと、じっとむかい合ったのだと思う。そういう、静謐な時の中にいたようだ」
以上
またね***
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