今回の記事のポイントは、がん細胞が光を発することである。つまり、なぜ分子は光るのか?その仕組みはどうなっているかを調べてみた。
分子の光る仕組み
分子には電子が縦横無尽に回っている。が、電子の回る大まかな場所というのは決まっている。その場所は、エネルギーの高い場所か低い場所かということだ。たいていの場合、電子はエネルギーの低い場所を回っている(基底状態)。なぜなら、エネルギーの低い方が安定だからだ。が、その低い場所にいる電子がエネルギーの高い場所に行くことがある(励起状態)。それは、電子自身が高いエネルギーを持った時だ。しかし、エネルギーの高いというのは不安定である。だから、電子は安定な状態になろうとして、エネルギーの低い場所に行こうとする。だが、高いエネルギーのままではエネルギーの低い場所には行けない。そこで、自分の持っている余分なエネルギー分を光エネルギーとして出す。これが分子が光る仕組み。
つまり、分子を光らせるには、まず電子を高い場所に移動させないといけない(励起状態)。三つの方法がある。1:化学反応による励起状態(CL)。2:光エネルギーを吸収しての励起状態(PL)。3:電圧をかけることによる発光現象(EL)。
以下、光発光(PL)について見ていく。
よく光る発光体の条件
ある波長の光エネルギーを多く吸収し、そのエネルギーを効率よく、違う波長のエネルギーとして放出する分子。また、発する光は、吸収した光の波長よりも長波長部に移るのが普通なので、実用を考慮に入れると、可視領域(400~700nm)で発行することが必要。
光る分子の構造
経験則によりまとめた光る分子の設計上重要なコンセプト(吉田蛍光則)がある。以下がそれである。
1.蛍光を発するには分子骨格として共役二重結合を有することが必要。
2.発光性を高めるには、共役二重結合に電子供与(ドナー)基と電子吸引(アクセプター)基を導入する。この際、両者が相互作用しうる位置にドナー基及びアクセプター基を導入することが最も望ましい。
3.アクセプター基のうち、重い原子(Iなど)、励起三重項状態への移行を起こしやすい基(例えばアゾ基、ニトロ基など)の導入は避ける。
最近の蛍光性有機化合物に関する研究は、その研究対象群の違いでいくつかに分けられている。縮合多環形、オリゴフェニレン系、オリゴフェニレンエチニレン系、オリゴフェニレンビニレン系、含ケイ素系、含ホウ素系、金属錯体系など。そして、全可視領域をカバーする発光体の合成にも成功している。
「光る分子」の応用として、有機EL素子、有機太陽電池などがある。生命科学研究分野では、バイオセンサーやバイオラべリング剤がある。今回の記事はまさにバイオラべリング剤としての活用。ちなみに、今回の記事の「蛍光」は、がん細胞だけに結合して発光することから、化学反応による発光(CL)ではないかと考えられる。
光る分野の技術というのは特に、細かいがん細胞などは、まさにこの一筋の光が未来へとつながる素晴らしいものであると思う。が、それゆえ、目がくらみ周りが見えなくならないようにしたい。やっぱり基本は規則正しい生活習慣であり、自分の自己治癒力を高く維持することが病気予防になるからだ。
以上
また、明日***
今日のaristotle quotes
「気づくということは苦しむということである。」
2009年3月23日月曜日
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3 件のコメント:
『これが分子の光る仕組み』
までしか読めなかった(/´∇`)/
どぅしてェネルギーの低ぃ状態=安定なんですか??
ここでいう安定とは、化学反応しにくいということ。つまり、電子が他の陽子の力に引っ張られにくいということ。そうなるには、自分の陽子に近ければ近いほど自分の陽子の力の方が強くなり、他の陽子の力の影響は受けにくくなる。つまり、自分の陽子に近いのが基底状態。
で、電子は動いているから動くエネルギーは持っている。まあ、エネルギーがあるから動ける。でも、陽子の引っ張る力を振り払うほどのエネルギーはないから、陽子の近くで動き回る。これがエネルギーの低い状態(基底状態)。これより少しエネルギーが大きいと、少し自分の陽子から離れるが、自分の陽子の力からは逃れられない範囲を電子は動き回る(励起状態)。自分の陽子の力からは逃れられないから、元の自分の陽子に近い場所を回るはめになる。そのためにはそれなりの動き方をしないといけない。めっちゃはしゃぐほど元気なら、自分の陽子の力があまりきかない。自分の陽子の近くにいるには元気をなくしておとなしくならないといけない(でも電子は動いているよ)。その元気はどこにいったかというと“光”として放出される。これが「発光」ということ。
う~ん、うまく説明できなくてすまない。細かくわからないとこは次会った時に説明するよ。
よーし!
こーなったら陽子ちゃんたくさん集めるしかねーな!!
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