人生を変える一冊というものがある。
わたしにとってはいくつかあるし、それらの積み重ねによって今の私がある。
そして、人生を変えるということは、あなたの今の生活や人生では学べないことを教えてくれる本ということもできる。
つまり、このままじゃお先真っ暗。どうにかしないといけない、しかしどうすればいいかわからない。周りの人はみんな自分と似たり寄ったりだ。こんな状況から抜け出すには、外の世界を知らないといけない。
すなわち、本を読め!
現実の自分ではけっして味わえない世界がそこにはある。
そして現代日本社会では学べないことが水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)
これまでの日本社会はめざすべきモデルがあった。だからそれを基準にして今の自分に足りない部分を客観的に指摘してくれる人(上司だったり親)がいた。
しかし変化の時代の現在。大人たち自身どう生きればいいかわからず、過去の成功体験を引きずっている。だから、真正面から子供たちと話せる大人は少ない。
水滸伝は、国を変えようと立ち上がる男たちの物語。
それは既存の社会をぶち壊し、新たな社会を創ろうという志が基となっている。
その過程において、国を想うためひとりの人間としての自分を押し殺す一方、やはり一人の人間としての自分が出てきたり、その葛藤もえがかれている。
さらに、人への接し方だったり、組織として人も育てないといけないためどう適材適所に配置するか、などビジネス上でなかなか学べないことも俯瞰して見れるところも魅力だと感じる。
闘いはまだ始まっていない。
まず、闘いの舞台を整えることだ。
以下抜粋
いまは、ひと粒の麦に心を傾ける民が、むなしく麦とともに踏みつぶされていく時代ではありませんか
醜いものは、見ようとされない。
「きちんと生きたからです。別れる時涙が出てしまう友を持てたのは、あなたがきちんと生きたからですよ、進」
槍の腕だけが立つ師範代。鋭いところは何も持たず、だから警戒されることもない。自分はそういう存在でいるべきだ。
間が抜けているが馬鹿ではなく、多少の欲もあるので扱いにくくない。武術師範はその程度がいいのだ。
拠って立つ場所と人を、網の目のように張りめぐらさせる。
私は、あの男に賄賂が効くとは、どうしても思えん。贈れば受け取る。効いたか効かぬかわからぬ程度に、効いたりもする。そういうところでも、人間を測っている。
このままでは、自分は腐っていく。ほかの者とは違う腐り方だが、腐肉になってしまえば同じだった。自分が毀したいものの中にいて、なにもできないでいる苦痛は、魯智深にはわからないだろう。
「私のために、あなたは人を斬ったのですから。私は、その愛に応えなければなりません」
「死ぬのを避けることができても、避けずに死んでしまう。それは、志への冒涜ではありませんか。同志への裏切りでもある」
やるのだ、魯智深。口だけで戦はできぬ。
「ひとりでなにができる、と嗤うだろう。しかし、なんであろうと最初はひとりなのだ。俺は、そう思う。愚直と言われれば、そうだろう。しかし俺は、これと思った人間には、かならず自分の言葉で語るようにしている」
晁蓋は、乱れたものを、さらに乱そうとしたのだ。乱れきったところから、なにか別のものが立ちあがる。
志がなんだ。そういう時は思う。志などというものがあったために、張藍への愛をついに自覚することがなかった。張藍が死んでからの自覚など、自覚ではないのだ。
生き延びるべきなのか。
銭と無縁で暮らされてはなりません。それは人の営みを忘れることでもあるのですから
耳元の呻きは、感情を逆立てる。遠い呻きは、心の底に響く。
ここに、大人などひとりもいないぞ。大人の智恵で、いまの世は変えられん。みんな、子供であらねばならん。子供の眼で、正しいか悪か、見極めるのだ。
「血の気は多いが、弟は天に恥じることは断じてやっていない」
「人の世には、縁というものがある。それがどう生きるかだ」
「なにかひとつ必要なもの。それは、史進をこの世から消そうとする力だ。それは、ひとりの人間の力ではない。権力というものだ、と俺は見た。州の軍兵がそれをやってくれたら、史進は少華山に向かって踏み出すしかなくなる」
私は、私のためにやっている。生きている。そう思いたいからだ
猜疑心の強いやつには、それなりの理由が必要でしょう。
「強さと弱さか。人間というのは、厄介なものだな、花栄」
「そう思う。志があればいい、というものでもないのだな」
「私は、躰を治すことしかできぬ。しかし、心が躰を左右することはよくあるのだ。心さえしっかりしていれば、死ぬことはなかったという病人を、何人も見てきた」
「あの男は、自分が抱いた悲しみを、どんなかたちであろうと、自分で克服するしかないと思う。それができないのなら、厳しすぎるほど厳しくするしかないな」
「私も白勝も、一度死んだ。おまえがいなければ、間違いなく死んだのだ。私たちの命は、おまえに預けるべきだと思う。それから、礼を言わねばならない」
以上
またね***
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