2012年6月24日日曜日
水滸伝五(食べる読書102)
物語が次の展開へと移っていく。その布石の巻だと感じた。
魯智深は九死に一生を得、魯達となりますます化け物じみていっている。
楊志が死んだ。
最もバランスのとれたすばらしい人物だし、今後中心的存在になっていくだろうと思っていたが、…死んだ。
だが、これで大きく物語は展開していく。
惜しい人物が次々死んでいく。
この巻では、楊志のほかに私にとっては石秀がそうだった。
致死軍から追い出され、楊志のもとへと移動になった。
この石秀が再び致死軍に戻ったときどう変わっているかが楽しみではあった。
残念だ。
だが、悔しがってばかりもいられない。戦は続くし、これが戦だ。
こういう惜しい人物をあっさりと死なすというのもこの物語にリアル感をもたらしている要因だと感じる。
人の幸せを楊志を通して見れた気がした。もうこういう人物は出て来ないとは思うが・・・。
ほかの面で人の幸せを見いだしてみようかな。
以下抜粋
「自分の志が、どれほど多くの人間に支えられているのかと、旅に出てはじめてわかった」
一万の軍に包囲された。本当にきわどいところを擦り抜けたのだと、戴宗らの表情を思い返すとわかる。しかし、生きている。生かされている。闘え、ということだ。武松のように、李逵のようには、闘えない。しかし、自分にできる闘いは、あるはずだ。
「打ち首には、まだ多少の名誉がある。人間らしいものとして、おまえに許されるのは恥の感覚だけなのだ、その恥にまみれ、見せしめとして滅びてゆけ。それが、おまえの死が役立つ、唯一のことだ」
この国は豊かだった。いまも、開封府には人と物があふれている。商人の力が大きかった。商人が儲ければ儲けるほど、役人の取り分は少なくなる。そこから、役人の権限を利用した腐敗がはじまったのだ。商人が使える金が大きくなり、腐敗もまた大きくなった。
「はじめから、経験を積んだ人間など、いない。ひとつの経験から、なにを汲み取ることができるかだ、阮小五」
「私は、世直しの志を持った。それが、男として生まれてきて、大事なものだということは、よくわかっている。しかし、男の人生には、ほかに宝もある。それがおまえであり、楊令だ。二竜山にいる間も、私は生きている喜びを噛みしめていられる」
李富の、国を思う気持ちが強ければ、耐え難い傷も耐え抜けるはずだ。そこで耐えられなければ、そこまでの男だったと思い定めればいい。
「戦は、勝てば終わる。負けてもだ。しかし、改革は終らぬ。どんな改革にも、不平を抱く者はいて、それが事あるたびに動くのだ。王安石の改革を見ていて、私はそう思った。神宗皇帝の没後、不平を抱いた者たちの巻き返しは、戦より厳しく陰湿なものであった。急ぎすぎた改革は、必ずそういう結果を招くと私は思っている」
自分の国を見限るのは、自分を見限るのと同じことだ、と言われた。卑怯者が自分から逃げるように、ただ逃げただけだ。そして、どこへ逃げたところで、そこが帰る場所になることはない。帰る場所を捨てて、人生になんの意味があるというのだ。
人が旅をするのは、変えるべきところへ帰るためだ。
「痛みが、心の中のなにかを癒す。そんなこともあるのだ。医師であるおまえには、肯んじ難いだろうが」
「戦は、第一です。ただ、戦を支えるために必要なものもあります」
ひとりの人間の力が、これほど強いのか、と驚嘆せざるを得ない。しかし、だからこそ叛徒は脆さを持っていると言ってもよかった。楊志を殺すことで、二竜山は大きく動揺するであろうし、晁蓋と宋江を殺すことで、梁山泊は大混乱するはずだ。
俺は世直しなど、どうでもいいと思っている。だから、志などないのだ。自由に生きられる場所を、心から欲しいと思っているだけだ。
愛されていると感じるだけで、自分は生きていると馬桂には思えた。生きることがこれほど切なく、もの狂おしいと、この年齢になってはじめて知った。
ふり返る。楊令。済仁美に庇われるようにしながら、顔だけこちらにむけていた。眼が合った。笑いかけようと思った。笑えたかどうかは、よくわからない。父を見ておけ。その眼に、刻みつけておけ。
この国は民が元気になり、さまざまな場で、大きな力を持つようになった。当然、豊かにもなった。本来なら役人が得ていたものを、商いというかたちで、民が得るようになったのです。以前より数倍、あるいは十数倍も大きくして。役人に残ったのは、権限だけです。その権限を利用して、賄賂を受けるようになった。そうしなければ、昔のような収入は得られなくなったからです。
以上
またね***
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