2012年9月16日日曜日
水滸伝十五(食べる読書124)
よく耐えた。
そして、多くが死んだ。
総力戦だった。
通らねばならない道だった。すでにある国に闘いを挑むには、だ。
しかし、耐えた。正確には、兵力の差が響いてくる前に、戦を終わらせた。これが、総力戦。兵力で負けるのなら、それ以外で手を打つ。
しかし、よく耐えたと思う。停戦するまでの間。
これで、次は戦のギアが変わる。
次が本番だろう。
それまで、どれだけの準備ができるか。
次の戦は始まっている。
以下抜粋
「待つことは、戦場へ出るよりつらい。はじめて、それがわかりましたよ」
「ただ、結果を待つのではない。結果の先に、やらなければならないことが、また山ほど見えてくる」
「まったくです。ここですべてを見ていることが、次に繋がる。しかし、それを忘れてしまいそうになります」
いまは宋という国に、正面から闘いを挑んでいる。生きている、という気がするよ。全身全霊で生きている、と思える
勅命という力が動けば、この国は滅びにむかうかもしれない。特に、それが戦に及べばだ。口に出すことはできないが、戦を判断する器量など、帝にはない。
「おまえは、兵たちの気持に火をつけるものを持っている。そういうことでいいのだ。ほんとうに必要な時だけ、弓を遣え」
集まって気勢をあげることと、戦をすることでは、まるで違う、と私は思う。
「すべて、運に恵まれたのだと思う」
「運とは、呼びこむものである。それも、学びました」
人の命運は、自ら切り開くこともあれば、横から出された他人の手で決まることもある。どちらがいいなどとは、言えはしない。どちらも、命運であることには変わりないのだ。
「俺が、すべてを負う。それでいいではないか。負った重みに耐えかねたところが、俺が消える時期だと思うしかない」
そのために手を汚すことは、いとわなかった。汚れるだけ汚れて、これ以上は汚れようがないという時に、自分は多分死ぬのだろう。いまのところ、まだ左腕を一本失っただけだ。
流れに任せろ、張清。あるところまでは、流れに任せておくのだ。
「命というものは、尊い。そして、強く、同時にはかない。そう思い定めるのだ。」
「そう思ったら、なぜ?」
「人の力ではどうにもならない、と思える。生きるものは生き、滅びるものは滅びる。そういうものなのだ、と思える」
「戦は、大枠だけを決めておく。あとは生きものを捕えるように、指揮官が戦を捕えていく。そういうことなのだろう、と思うのですよ」
「宋江殿も、呉用も、そしておまえも、人であってはならないのだ。人を超えたもの、それが、梁山泊を動かす者には求められる。わかってくれ」
はじめたことを、ひとつだけやれ。人に認められるまで、ほかのことに手を出すな
熱いものが、こみ上げてくる。自分には、同志がいる。死んでも、生き返らせてくれる同志がいる。
これまで、強く感じたことのない、喜びだった。
「自分の力以上のものを持ってしまうと、どうなってしまうのでしょうか?」
「持てる力に合った自分になる。人間とは、そういうものだ」
人は、なんによって生きる。志があれば、飢えないのか。富があり、名誉がある。これは、人の本能が求めるものだ。志は、頭が求めるものであろう
「心配するな。私は、おまえの力をこれからも測り続ける。無理だと思うことを命じて失敗したら、それは咎めはせぬ」
以上
またね***
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