2011年12月7日水曜日

稼ぐ人の「答力」(食べる読書71)




画家は絵によって自己を表現する。

音楽家は音楽によって、小説家は文章力で、学者は論理によってそれぞれを表現する。


表現する手段は職種によって異なるが、己を表現することは同じ。



また、その業界でトップになるのなら、同じ手段を使ってはいても表現する内容は異なっていないといけない。



では、一般のビジネスマンは何によって自己を表現するのか。その答えが本書で紹介されている「答力」である。




これは私の意見なのだが、よく職場に「~三か条」「~の規律」などといった張り紙というか、ポスターというかが張られている職場がある。たいていこういう職場は成績が悪かったり、職場環境がよくなかったりする傾向にあるように思う。




なぜなら、トップの人がその職場の問題の解決を張り紙のみで処理しているということだと考えるからだ。



いつの時代やねん!!と突っ込みたくなるが、やれやれだ…。



ある商品を10万個作ってすべて売れる市場は日本にはもうあまりないのではないか。ただ、ある条件を満たせば売れる時代ではなくなって多品種少量の時代になっているし、サービス業なんかもう最たるものだろう。




今もそうだが、学校教育はどれだけ大量に覚えるかが評価の基準だった。それは、どれだけ与えられた条件を満たすかの競争である。




しかし、ビジネスの場ではどの条件を満たせばいいのかというところから自分で答えて、その条件を満たすところまでが仕事といえる。




ですので、学校優秀者というか、学校を絶対的価値ととらえている人はビジネスの現場にはたてません。あなたは事務職です。与えられたことを迅速かつ正確にこなす作業員です。だけど、ロボットやコンピュータと競合しちゃうんだよね。しんどい…。




学問は言葉で論理を表現する。だから、一定水準の教育が日本全国どこでも可能である。つまり、何かを教えるということは、そういうこと。




しかし、何か能力を身につけるということは、教科書では伝わらない。つまり、広範囲に大勢の人に身につけさせるのは今のところ難しい。本書はそういうたぐいの能力について述べている。




だから、これがこうなってこうなり、そしてこう変化して最終的にこうなる。といった教科書的なものではない。だから、本書からどれだけのことを学べるかは、読者自身の経験をミックスさせないと学べることは引き出せない。




行間を読む力が問われる本である。




そして、本書からの収穫はこの力に比例する。



以下抜粋


聞く人は、求めている解答のすべてを把握しているわけではないのです。




芸能事務所、音楽業界、映画業界など、外部からの様々な依頼や相談に関しても、それが番組のためになるかならないかを終始考え、受ける受けないをその場ではっきり答えるわけです。



スタンスというのは、どこを目指していて、どんな人間になりたい、どれくらいのレベルの人間になりたいと考え、それに合わせていまどんなチャレンジをしている、あるいはどういう気持ちで仕事をしたいと思っているのか、という状況です。




現在の情報産業界で成功しているのは「生の人間の答」をネット上で生かした企業です。




より相手の要望に応えたいのであれば、あなたはそれを探す必要があります。これが「想定する」ということです。



重要なのは本当に「相手のため」を考え、「自分の価値観」の中で相手に対してできることを実行する、という点です。




答力が誰のためにあるかといえば、自分のためです。
自分を捨ててまで、相手に合わせるものではないのです。




わかりやすくたとえることで、相手はイメージで答えを描くことができます。そしてそれをスムーズに行うためには、普段から答える練習をするしかありません。



ファッションに限らず、接客の現場では価格以外の付加価値をいかにプラスするかが求められます。上手なトークはマニュアルで会得できますが、心を動かすトークにはマニュアルがありません。



ビジネスにおいて、絶対的な答えはどこにも存在しません。




自分で考えたことや、相手を見据えた上でのアイデアを、その都度、満点である100に付加価値として乗せていく。そして、ベストな答えをつくり出していくのが「答力」なのです。




「20パーセントは会社の思想、残りはそれぞれがつくってください」




「売り」というのは、もともと自分自身に備わっているものではありません。
「答力」によって、自らつくり出すものです。




「商品=本体的価値×価格×ブランド×情報×理念」




自分にも相手にも、もっとも望ましい答えを探すのが理想的なビジネスです。それが達成できれば、お金は自然に入ってくるのです。





コンセプト共感型来店モデルのビジネスは、お客さまが質問する前に「私たちが出す解答はこういうものです」と、あらかじめ答えを出してしまう形の営業です。





普段からできるだけたくさんの情報、できるだけたくさんの知識を、頭の中にインプットしていくことが、そのまま答力を鍛えるトレーニングになることは確かです。





自分の理念が固まるだけでなく、その理念に深い自信がついてきます。
この自信は、答力の土台である情報そのものが自らの足で集めたオリジナルな情報であるという事実、そして自分でそれを見て考えるという経験からくる実感、さらにそれを誰よりも自分は持っているという確信が生むのです。





固定観念というのは、ありとあらゆる場所で、人の思考をストップさせているのです。





問題はいつも、目の前に提出されています。
それに気づくには、普段からあらゆることに問題意識を持つしかありません。




会社がどうだろうが、ビジネスの現場では答力のある人しか成功できなくなっているのが、今の世の中なのです。




人は会社が修行や研修という名目で育てるものではなく、責任ある仕事とお客様によって育てられるものだからです。




上司にとって重要なのは「長所を伸ばすように褒める」ことです。




成功する会社が社員に提供している最大のものは「夢」です。
そして社員も自らの答力を発揮し、会社の夢に応えていく。



以上
またね***





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