2011年7月29日金曜日

国家情報戦略(食べる読書36)





佐藤優さんとコウヨンチョルさんの対話本。



この二人はどちらもインテリジェンスの専門家で、それぞれの自国で逮捕歴がある。



なので、現場のインテリジェンスの世界に身を置いていた。



インテリジェンスに関していろいろ語っているが、対話本ということで、あまりまとまりがなく、ただいろいろな情報を紹介しているように感じた。何を言いたいのか焦点が見えなかった。






だが、疑問が一つこの本で解決した。これまでなぜ六カ国協議をするのか意味が分からなかった。それをやっても意味ないし、北朝鮮が従うとも思えないし、従わす手をどの国も提示していなかったからだ。しかし、佐藤さんは日本に核武装させないために六カ国協議をしているといっている。なるほど、納得だ。日本の技術力は高いから性能のいいものをつくれるし、それと同時にアメリカの発言力もアジアにおいては弱まるだろうし、いろいろな可能性が一気に見えてくる。が、佐藤氏はここで日本の核武装に対して反対の意見も持っている。理由は二つで、エネルギー政策に関する点と核実験する場所がない点。どちらも現実的で的を得ている考えだと感じた。




他にこの本で語られている情報は普通に生活していては見えないということで、貴重だと思う。



よって、以下に抜粋する。


いつ、いかなる国においても、時の政権にとって都合がよくないので、整理される個人や組織が存在する。治安維持法のような政治犯を取り締まる法律のない現下日本では、政治犯罪を背任、横領、贈収賄のような経済犯罪、あるいは強要や脅迫などの一般犯罪に転換してしまうのだ。




弁護士という存在は、自分の弱い立場を判事と検察側に対して説明してくれる人だと思っていたのですが、現実は全然違っていたからです。むしろ検察と捜査当局の手先のようなもので、文字通り悪徳弁護士でした。




特殊な環境での厳しい監視や行動を制限されることは、人生観が一変するほどの痛みを伴いました。しかし、「すべては心構えが左右する」という言葉を胸に耐えることに決めました。前向きにならないと、気持ちが折れてしましますからね。




プロのスパイは三つの目を持つべきだといわれます。空から全体を鳥瞰する「鳥の目」、顕微鏡をのぞくように焦点を絞る「虫の目」、そして潮の流れをキャッチする「魚の目」。これらを兼備して情報を収集、分析、判断しないと駄目だということです。




防諜と秘密保持は何より重要ですが、円滑な情報の共有と活用が優先順位としては上だと思います。軍隊はもちろん、一般社会でも、企画もオペレーションもすべて、関連する情報の収集と、その情報に基づいた正確な判断からスタートするのですから。





かねてから不思議に思うのは、日本の大学に安全保障や国防、セキュリティー、エネルギー資源関連の学部・学科がないことです。欧米各国をはじめ、韓国もそうした学部はあるのに、日本だけが例外です。これは、私だけでなく、日本の有識者も口を揃えて「おかしな話だ」といっています。




「“もの”というのは、すべて用在性であり、純然たる“もの”はない」とハイデッガーはいっています。
じつは、インテリジェンスにも同じことがいえるんですね。目的さえ分かれば、今までのものが違って見えてくるものです。






インテリジェンスというものは、技術は進歩したとしても、その基本哲学は孫氏の時代から変わっていません。






軍人は思想や考え方が偏っていますから、一般大学を出て、世の中の幅広い知識や常識を持っている人間のほうが、プロの工作員、スパイとしては望ましいという評価が韓国にもありますね。





「人間がSEXを好きなのは当たり前だ。何が問題なのだ」というのがイスラム教文化圏の考え方です。いっぽう、「それは抑えなければいけない」という禁欲的なモラルを置くというのがキリスト教文化圏です。ですから、儒教的なモラルの国や禁欲的なモラルの国でしか、ハニートラップは使えないんです。







インテリジェンスは文化に合わせた形でやるというのが鉄則になります。






対等の立場で相手の文化や歴史を理解しないと、情報戦や民衆心理戦はうまく機能しないというわけですね。






私はすごくうがった見方をしていて、インテリジェンスの世界での定石、つまり誰がいちばん得したのかと考えるのですね。






何もしないで、あと知恵としてやるというのも工作なんですね。どっちに転んでも得するように動くわけですから、かぎりなく詐欺師の世界に近いといっていいでしょう。







北朝鮮の人の中に他の国の情報が入ってきて、彼らの欲望が膨れてしまうことが崩壊のきっかけになるはずです。






ジンギスカンやナポレオン・ボナパルト、アドルフ・ヒトラーが世界征服を狙いましたが、民族のアイデンティティは武力では奪い取ることができないというのが歴史的な事実です。






北朝鮮は貧しい田舎の国というイメージが強いですが、核やミサイル技術、あるいは生物兵器分野では、先進国と同じレベルにあると見るべきです。






「商品の輸出」ではなく「資本の輸出」が主流となった株式会社形式を中心とする最高段階の資本主義、それが帝国主義だということです。






私たちが核を持った新しい帝国主義の時代に入った場合の覚悟を持てるかどうかです。そのとき私たちも、世界全体を破滅させる能力を持つことになります。その責任に耐える覚悟を持たなくてはなりません。






現代は知識や情報こそが力となり、権力であるという事実を実感します。そして、「戦わずして勝つ」ための近道は、目に見えない情報戦争で勝ち抜くことだという歴史上の教訓も忘れてはいけません。




以上
またね***

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