2009年1月28日水曜日

パイドン

パイドン―魂の不死について (岩波文庫)
」。プラトンの著書で、ソクラテスが毒を飲む日、ソクラテスがどんなことを話ていたかを記したもの。形式として、そこに居合わせたパイドンが、その場に居合わせなかったエケクラテースに話すという構成になっている。

今回の話のテーマは、哲学者が死を恐れないのはなぜか?ということ。

この論説は、いつものソクラテスらしい問答だった。

一つ一つ丁寧になぜそうなのかを考えていく。そこにいる弟子たちの質問にもきちんと答えていく。

真の哲学者は死ぬことを心掛けている。

哲学者は知を愛し、肉体・金銭・名誉を愛しはしない。

もちろん、ん?、そうなのか?などソクラテスの展開に疑問を持つ部分がないわけではない。問答の中で一見どういう関係があるのか?とはじめはわからない方向に話が移ることがある。調和の話になったり、形相の話になったり、でもそれはちゃんと同じ方向に向かってのことなんだよ。一つのことを証明するにはそれを裏付ける別のことを証明しないといけない。その裏付けとなるものが何かを分かってないと議論は先に進まない。

アインシュタインは質問が大事といってた。たぶんこういうことだろう。一つの目的を成すには自分は何をどう考えなければいけないか。質問をすればその答えを探すように頭は働くということを両者とも知っていたんだなと感じる。

で、結論として、魂は不滅。であるから、いつまでも魂の世話をしないといけない。たとえ死んでも、あの世で魂が不滅であるが上にそれに合った境遇を受けるようにしなければならない。


パイドン―魂の不死について (岩波文庫)


そして、弟子たちが、なにか自分たちに言っておきたいことはないかとソクラテスに尋ねた。

「君たち自身を大切にしてくれさえすればいいのだ。そうすれば、たとえ今何も約束してくれなくても、君たちが何をしていても、僕にも、僕の家族にも、君たち自身にも尽くしたことになるだろう。だがもし君たちが自分自身を大切にせず、今もまたこれまでも話し合った道にしたがって生きることをしないならば、たとえ今、どんなにたくさんのことを熱心に約束してくれたとしても、何にもならないのだ。」

こんなにやさしい言葉があるかあ!?まさにそうだ。自分を大切にすればいい。それだけ。

平然と毒を飲む。あまりに自然体で。ただただ、胸が熱くなるばかり。こんな人がいたのか。ほんとにこんな人がいたのか。人はこんなにも素晴らしくなれるものなんだ。

自分もただ純粋に知を愛し、その行為を楽しもう。

本当にありがとうございます。ただそれしか言えない。ありがとうございます。


パイドン―魂の不死について (岩波文庫)


以上
また、明日***

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